日本のウェブが残念なのは急速に進みすぎたという仮説の先を思う

日本のウェブは遅れているのではなく、急速に進みすぎたのではないかという仮説 : tokuriki.com
読んでいてすばらしいなと思った。
その洞察力。「そんなことないよ」という反論は多かったが、ここまで見抜いた人はいないと思う。仮設だから見抜いたわけじゃないけど。
裏づけの提示。人が納得するには信憑性が大事だけど、得てして最近の日本は「テレビでそう言ってるから」「友達がそう言ってるから」で納得する人々であふれてる。結果情報操作が多用されているのだが。そういう「雰囲気を操る情報」を疑うことを常としてる自分にとっても納得いく記事だった。
筋道の通った推論。自分もほのかに「日本が進みすぎてるんじゃね?」って思ってはいたがあくまで妄想レベルだった。diggはてブ化いやnewsing化してきているという事実から、ネット利用者の大衆化を見、日本は大衆化において先行していると考え、嫁blogの状況によって補強している。更にはblogサイトの日本語シェアと過去の猫も杓子もblogブームから、ネットの浸透が急速すぎた事を結論付けている。
なるほど、である。そうなると今後のユーザ住み分けの模索は日本の役目であり、それを他国が追随するという図式が浮かぶ。残念がっている場合じゃない。日本頑張れ。

で、そこから発展させて思うこと

思うと/.J2ch化が進んで久しい。当初はものすごい違和感を感じていたものだが、もう諦めというか、そういうものなのだという考えが定着しているように思う。発言の言葉としての低俗化が著しいが内容はそこまで低下していないというのも不思議に感じるところだ。*1

なんでだろう

昔ならば/.Jくらいの高尚な*2内容の議論であればTPOを選んで発言していたはずの者が、2chに影響されたのか、低俗な物言いを文化として認め、厭わず使い始めたのが原因なのではと考えている。それがきっかけで本来そんなトピックに関わるべきではない群集レベルが発言を始めてしまい、ノイズが増加してきたのだと思う。大衆化というのは良い面もあるけどそれに匿名性が加わっている今のネットってやっぱりヤバイ感じがする。

なんとかならないんかな

メールにSPAMが増えてしまったことから、それに対する対策やらフィルタリング技術が向上してきてはいるが、ネットにはそのフィルタリング技術が追いついていない分野も多いのだろう。/.Jもフィルタはあるがそれは大概有効には働かず、結局フィルタレベルを下げることで多少のノイズも我慢して受け入れてると思う。
とすると、まじめな議論ができる場を用意するためには、会員制みたいな閉鎖空間にするか、はたまた実名にするかといった案が思いつくが、もっとマシな方法が欲しいところだ。やっぱり個人特定というのは問題があって、でもある程度特定可能である必要があって、そうすると、例えばブログの持ち主との紐付けとか、あとはSNSみたいな推薦制しかないかなとか思ってみたり。他にはカードによる小額決済とか、自動車免許とカードリーダとか、住基カードとか、TASPOとか、携帯の固有IDとか、ある程度本人特定できる原資を求めるとか。難しいよなぁ。

で、どうしたいかといえば

「清水に魚棲まず」とは言うものの、多少意識してその川をきれいに保つ努力をしないとノイズまみれになってしまって住みにくくなってしまうと思う。ネットでも、SNSのようにある程度制限することで住みよさを実現する仕組みが出てきているのだから、毒気が欲しいときのためのコミュニティ(あるいは住みか)とかまじめにやりたい時のコミュニティ(住みか)というのが出てきても良いのだろう。毒気は管理しないことで既に存在している(2chとかはてブとか)ので、まじめ向けのSNSの誕生というのがそろそろあってもいい気がする。でも単なるSNSではいかんともしがたい。つまり、SNSでは知り合いあるいは、知り合いの知り合いのような形でしかコミュニティを形成できない*3

SNSみたいな新しいもの、とは

例えば私が梅田さんとまじめに語ろうと思ってもそれは無理な話だ。それを解決するには、まず自分のベクトルを示す*4のが必要なのかなと。

  • どんなフィールド*5に存在しているか
  • どんな思想を持っているか
  • どんな話題を欲しているのか
  • どんな清濁レベル*6で話したいのか

みたいな情報。これをまず晒すことがまず必要になるのかなと思う。SNSで言うところの本名だとか年齢だとかみたいな。
そしてその情報をマッチングかけて、グループとしてシステムが勝手にレコメンドしてみたりする。MNS(Mind Network System)みたいな感じだろうか。あとはメンバのディスカッションの場の提供、ネタとしてグループ向けのニュースクリップの提供、趣旨から外れたメンバへの匿名Buzzボタンみたいなもの(多少なら賞賛ともなるが増えると退場勧告になる)とか、それに対してのGoodボタン(Buzzカウントを減らす)とか。

でそんなのできるのか

判ってる人は説明いらないだろうけど、これは機知の技術をつなげただけ。何も難しいところはない。難しいのはそれをどう売り込んで使ってもらうか。いわゆるマーケティングが難しいと思う。うまく浸透すれば爆発的ではないものの、知性は必要なものと思う人々が皆参加しているようなコミュニティになると思う。
Google Waveはすごいと思う。画期的だ。でも自分ではそんなのは作れない。作れても使い物になる前に淘汰されそうな感じだ。ならばローテクではあるけど、でもmixiのようにみんなが使ってる、そういうもので世界を切り開くというのは悪くないなんて思うこのごろ。

ここまで書いて思ったこと

今の日本人は、そういうシステムがないからblogで書き、コメントを心待ちにしていたりするんだと思う。誰も読んでないかもしれないのに。ということは、blogとシームレスに繋がるシステムならば…と思ってみたり。

*1:でもやっぱり古きよき/.Jは失われているし、質が低下しているのは確かなのだが。

*2:という言葉は適切でないとも思うが

*3:基本的な考え方の部分に絞っての話

*4:登録する

*5:業界とか

*6:2chレベルなのか@ITレベルなのか、社説レベルなのか、みたいな